スルー耐性だけでは生きられない バカと暇人のネット社会
プロレスラーの木村花さんが22才の若さで逝去した。恋愛番組への出演、それに伴うSNSでの誹謗中傷が背景にあるようだ。
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ネット編集者、中川淳一郎さんが2009年に発行した『ウェブはバカと暇人のもの』は、ウェブ媒体に関わる人の心構えを解く良書だった。
まだ2ちゃんねるなどの掲示板やミクシィがSNSの主流だった頃にネットのコアユーザーの質は著しく低いと看破し、誹謗中傷に対し「スルー耐性」を身に付けることを勧めている。
今は当時と比べてツイッター、フェイスブック、LINEなど匿名によるダイレクトな「攻撃手段」が浸透しており、スルーすることすら難しくなっているのかもしれない。
スルーは心を殺すこと
世界陸上銅メダリストの為末大さんが5/25の「真相報道バンキシャ!」(日本テレビ系、日曜午後6時~)の中で、木村さんの訃報についてコメントを求められ、「(SNS上の誹謗中傷に対する)自分の考えは間違っていた」と打ち明けた。
為末さんは誹謗中傷をスルーして「自分が強くなるべき」と考えていたが、「それは心を殺していた」と振り返り、「弱いというより、優しい人が難しい状況になっている」と分析した。
YouTube、Instagram、tiktokなど旧来のメディアに頼らずとも自己発信できるツールが増え、批判の対象になる「出演者」も増えた。有名になるハードルが下がったことで、優しい人がバカと暇人の標的になる機会も増えていく。
強い人だけ撃退できる
木村さんの訃報を受けて、メジャーリーガーのダルビッシュ有さんが悪質なリプライの撃退法をツイートしている。作家の百田尚樹さんはさらに過激とも言える自身の対処法をツイート。
さすがはメジャーリーガー!高度なテクニックです!
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2020年5月23日
私はクソリプを射撃の標的と見做しています。
あまりにも間抜けで大きな標的は、撃っても面白くないので、即ブロック。
手頃な標的は何発か撃って、飽きたらブロックします。 https://t.co/qHWu5Nzh40
強い。強いな。本当に強いなと思う。筆者はたった一人からの執拗な嫌がらせでSNSのアカウントを潰したことがある。大変手の込んだ手口で、つながりのある周囲にまで迷惑が及ぶのが耐えきれなくなったのだ。
脅迫じみた内容もあり、警察への通報も考えたが、相手が元同僚と特定されたことで会社が間に入って示談した。ふとしたきっかけで、エスカレートした形で再燃するのではないかと今でも警戒を怠っていない。
加害者には、社会的生命が抹殺されるくらいのペナルティーを、と本気で願うが、それまた誹謗中傷になりかねない。ネットというのはリアルな社会よりも生きづらくなってきたね。やれやれ。
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