識者コメントが「主婦代表」ではガッカリ 新型コロナ報道
新型コロナウィルスに関する情報提供については、ワイドショー間でだいぶ差がついてきた感がある。
「バイキング」は4/24の放送で、女優の岡江久美子さんの急逝をトップで取り上げた。自宅待機中に容態が急変したこととの関連から、番組では埼玉県で自宅待機中の軽症者が相次いで亡くなっていたことをクローズアップした。
政府批判のみ 具体案なし
コメントを求められた昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「(家庭内感染の防止など)二つの観点から自宅待機中の軽症者をホテルに収容すべき」と述べるにとどまり、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「取材中(今は話せない)」と強調しながら、全国で自宅待機する軽症者の数字を把握していない厚生労働省の体質を批判するのみで、共に具体案はなかったのが残念だった。
司会の坂上忍さんが、東京五輪の選手村が軽症者の収容先候補に一時挙がりながら、話が立ち消えになったことを問題視。しかし鈴木氏が、五輪延期が決まる前だったので見送った▽大会後の分譲販売への悪影響を懸念した――ことを推測したのみで次の話題に移り、消化不良に終わった。
「羽鳥慎一モーニングショー」で、白鴎大学の岡田晴恵教授が、収容先不足が著しい埼玉県に対して「体育館でも、さいたまアリーナでも構わない」と改めて提言していたことに比べると物足りない。
都知事ヨイショに違和感
「バイキング」ではその後、都知事が4/23の記者会見で「スーパーの買い物は3日に1回」と要請したことに話題を移したが、初めに坂上さんが都知事を持ち上げたことに、ワイドショーといえども緊急事態宣言下のメディアの発言として違和感を覚えた。
さらにコメンテーターとしてスタジオ出演したキャスター経験もある吉川美代子さんから「自分の周囲には既に毎日スーパーに行く人はいない」「この期に及んで夫婦で来ている」などと主婦代表のような意見しか出ずにがっかり。金曜レギュラーのアンガールズ・田中さんが「5人家族が3日に1回で済むのかな」と意外にも的確な疑問を呈したもののスルーされていた。
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これまた「モーニングショー」では4/23の放送で、コメンテーターの高木美保さんが、アメリカの知人から聞いた話として「近所の高齢者の分も買い物をするボランティアの取り組み」を紹介。ネットメディアで既出の情報とはいえ、今のタイミングで伝えることに意義を感じる。
感染対策として都の方針を紹介するだけに等しい「バイキング」は、新型コロナが最大関心事の間は見なくてよいかもしれない。この番組が面白いのは芸能スキャンダルを扱ったとき。しばらくはコロナを上回るネタは出てこないだろう。
しかし、同じ2時間弱ながら「モーニングショー」と「バイキング」の視聴者間で、新型コロナウィルスに関する情報格差は恐ろしいことになっているのではないか。感染対策について、公的機関の情報提供が杜撰なだけに余計な心配をしてしまう。
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