そんなアジサイに騙されて…「移り気」な七変化を楽しみたい
初めはポツンと一輪だけ咲いていたアジサイが幾重にもなり、白っぽかった色もピンクや青へと次第に染まってきた。梅雨の真っ最中。アジサイも最盛期を迎えたようだ。
仕事場まで徒歩30分ほどの道のり。歩道の植え込みや神社の入り口など観賞スポットがたくさんあり、日々変化が楽しめる。
小さな花びらが密集しているように見えるアジサイだが、発色しているのは花弁ではなく、野菜でいえばヘタに当たるガクと呼ばれる部位という。
どちらでも構わないのだが、そのおかげで咲き始めから散るまでの期間が長くなり、変化していく様子を観察できるわけだ。
土中の酸度で変化
土に含まれるアルミニウムの量と酸度によって、青やピンクにアジサイの色が変わると聞いたことがある。
なのでうまく調整すれば白からピンク、青へと変化して最後にカラカラになって茶色になるまで、アジサイの代名詞である「七変化」が可能なのだろう。
清楚な「シロテマリ」から「レッドビューティー」と呼ばれる派手めの品種まで様々なタイプがそろっているのも楽しい。
中央の小さな花弁を額縁のようにガクが取り囲むガクアジサイの控え目さが一番好みかな。
家持が詠んだ和歌
なんだかお気に入りのホステスのことを話しているような気分になってきた。アジサイの花言葉は「移り気」。うまいこと付けたものだ。
希代のプレーボーイとして知られる大伴家持がアジサイを詠んだ下記の和歌が万葉集に収められている。
言問はぬ 木すらあぢさゐ(アジサイ) 諸弟らが 練りのむらとに あざむかれけり
もちろん女性に贈った歌で「ものを言わない樹木でさえ、アジサイのように移ろう。手練れのあなたに騙された」という意味らしい。深いなあ。