トランプが世界恐慌を? 最悪の大統領との類似点
池上彰さんのニュース解説は分かりやすい。しかし、特番だと長すぎて見てる方もだれてしまう。情報番組の中でコンパクトにやってもらうのが最適だ。
5/11の「大下容子のワイド!スクランブル」(テレビ朝日系、月~金曜午前10時25分~)で、ジャーナリストの池上彰さん、増田ユリヤさんが「激変!?コロナ後の世界…読み解くカギは世界恐慌」と題してニュース解説を行った。
歴史の授業で名前は知っていても、第二次大戦との関連など詳細を知らずにいた「世界恐慌」を改めて学ぶ機会となり、興味深い内容だった。中でも、当時の米大統領らと比較した現在の政治家らへの当てこすり?が秀逸だった。
フーバーとトランプ
1929年に世界恐慌が発生したときの米大統領がハーバート・フーバー。自由放任主義の立場から直ちに対策を取らなかったことから「経済オンチ」「史上最悪の大統領」などと後世で散々な評価を受けている。
フーバーは世界恐慌のきっかけとなる「暗黒の木曜日」と呼ばれた株式市場の大暴落から半年後に「恐慌のピークは過ぎた」と宣言し、高関税など保護貿易政策を取って、さらに恐慌を悪化させたといわれる。
一方、現大統領のトランプ氏は4/15に新型コロナウィルスについて「米国内の感染のピークは過ぎた」と述べ、一部の州で経済活動を再開させる見通しを示した。池上さんは同じ共和党であることを含めて共通点を指摘。大統領選前にトランプ氏の危うさを示唆したかったのか。
ルーズベルトと安倍首相
フーバーを選挙で破って1933年に大統領に就任したのがフランクリン・ルーズベルト。こちらは積極的な公共事業などで経済を立て直したことが好感され「史上最高の大統領」に挙げられることもある。
そのルーズベルトは大統領就任演説で「もっとも恐れるべきことは『恐れる』ことである」と述べ、経済再建策を積極的に進めていったという。
緊急事態宣言を発令した4/7の記者会見で安倍晋三首相が述べた「恐れるべきは『恐れ』それ自体である」がこの引用だったことに触れた池上さん。うんちくを語りたかったのか、安倍首相の独自の言葉でなかったことを揶揄したかったのか。判然としなかった。
ファーストレディ―比較
世界恐慌を脱したルーズベルトには賢夫人の協力もあった。ボーナスの繰り上げ支払いを求める復員軍人のデモに3度出向き、コーヒーを差し入れて説得に当たったという。
池上氏は「足を引っ張るファーストレディーとは(大違い)」と名前こそ出さなかったが、外出自粛の最中に花見をしたり団体旅行をした安倍昭恵首相夫人を明確に非難した。
「氷の世界」解けた!
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話は変わるが、難解だった井上陽水さんの「氷の世界」の歌詞。「窓の外にはリンゴ売り」で始まるあの曲である(知らない人ごめんなさい)。ニュース解説を見ていたら、歌詞を紐解くヒントが見つかったので紹介しておく。個人的には政治家の共通点よりもこちらの方が大発見だった。
世界恐慌が長引くと、アメリカの街頭には首から木箱を提げたリンゴ売りの姿が急増したそうだ。失業者が郊外の農家で仕入れて売ってたという。それを見て「リンゴを売れば儲かるのか」と話したフーバーの無能ぶりを示すエピソードとして出されたのだが。
国内初のミリオンセラーとなった名盤「氷の世界」がリリースされた1973年といえば、第一次オイルショックを迎えて世界経済が大混乱していた頃。そんな不安な世相を「リンゴ売り=失業者」で表していたのだろうな。この発見に誰かノーベル賞でもくれちゃうんじゃないのか。