「正義中毒」「本能的な警戒心」コロナ禍で攻撃的になる人々
週末の情報番組は平日の帯番組と違って情報は古くなるものの、時間をかけたぶん、不安を煽るだけでなく対策やメッセージが込められていることが多い。
「真相報道バンキシャ!」(日本テレビ系、日曜午後6時~)は、脳科学者の中野信子さん、CMプランナーの福里真一さんがリモート出演した。それぞれに専門を生かしたコメントで番組を引き締めた。
営業中の店や県外ナンバーの車に貼り紙をするなど「自粛警察」と呼ばれる人たちを中野さんは「正義中毒」と表現。人を注意する行為は快感を伴い、脳内にドーパミンが出るそうだ。
なんと、自粛警察にもパチンコと同じように習慣性があったとは。なかなかなくならないわけだ。中野さんは「自分を客観視することが大事」と注意を促した。
宇宙人の目線に立つ
番組では相次ぐ店への貼り紙のほか、警察に「高齢者3人がマスクをしないでラジオ体操している」などと感染の危険を通報するケースが相次いでいることも紹介された。まるで監視社会の到来を望んでいるかのようで恐ろしい。
福里さんは自らが手掛けている缶コーヒーのCMを例に出し、「地球全体が未知のウィルスと闘っている」と「宇宙人の目線に立つ」ことを推奨。中野さんも「とてもいい」と賛同した。
続いて医療従事者家族への差別・偏見に話題が移る。栃木県で近くの公園から子供二人を排除された看護師の例を紹介。医療従事者へ感謝を伝えるキャンペーンがこれだけ広まりながら、いまだにこうした行為が続いていることに少々呆れた。
中野さんは排除した母親にも自分の子供を守るための正義があると分析。根底には「恐怖心・警戒心がある。なくすのは不可能」としながらも「警戒と差別は違う。誰もが差別なんかしないと思っていても『する』ことがあるということを自覚しないと。常に気づかせていく必要がある」と警告。本能的な部分に関わる問題のようで難しそうだ。
自分と違う多様な意見を
キャスターの福澤朗さんから「ネットやニュースでコロナをずっとやっていることも理由の一つかもしれない」と問題提起も。
中野さんは「冷静な人、いろんな人の多様な意見を取り込んでほしい。ネットだと自分に都合の良いものばかり探してしまう。次は自分と違う意見を見ることが大事」と訴えた。
福里さんは「悪い状況がそういうふうにさせている。元通りの自分に戻るきっかけとして、(CMだけでも)ホッと肩の力が抜けるものを」と自らの仕事に照らし合わせて述べた。
最後に中野さんは「誰かを攻撃するのではなく、幸せにする喜びを」と締めくくった。新型コロナ禍の今こそ、優しくなれるといいな。自戒を込めて。