医療従事者は本当に癒やされたか? ライトアップ効果に疑問
緊急事態宣言の解除に向けた指標となる「大阪モデル」。大阪府は信号機に見立てた警戒信号をホームページに掲載して達成状況を毎日更新する。通天閣、太陽の塔などランドマークにもライトアップして知らせるそうだ。
切実に欲しいモノは
医療従事者への感謝を伝える目的で、ランドマークをブルーでライトアップする活動が全国に広がっている。目的自体は素晴らしいことだけど、命の危険に直面するという緊張感を持って働いている人々を本当に癒やせるものなのかな、とそのニュースを見るたびに疑問も感じていた。
当事者が切実に欲しがっているのは、目の保養でしかないライトアップではなく、マスクや防護服といった「装備」だったり、疲労した心身を休めるための「施設」、危険に見合う「待遇」という現実的なモノ。ライトアップは医療の恩恵を受ける側の自己満足にしかならないのではないかという不安があったのだ。
先月までに見られた医療従事者の家族等への差別や偏見を取り除く効果はあったかもしれないが、これらのことは十分に周知されたので役目は果たしただろう。
大阪府の場合、達成基準がクリアしているときは「グリーン」、注意喚起が必要なときは「イエロー」、警戒中のときは「レッド」と信号と同じようなライトアップになる。府民へ視覚的に直接訴えかけるわけで効果も期待できそう。
信号に限らず速度計などでも「赤」には「危険」を知らせる効果がある。大阪の吉村洋文知事は5/8のツイッターで「赤のライトアップは強烈だな。危険度が直感で感じ取れていい」と試験点灯された太陽の塔の感想を述べている。
そして「緑」は自然を想起させ心を穏やかにさせるといわれている。吉村知事は先のツイッターで「15日が判断基準日だが、みんなで緑を目指し続けよう」と呼びかけた。
ちなみに「青」は犯罪抑止に効果があるとされ、青色防犯灯として設置されたり、街灯に採用されたりしている。長期化する新型コロナ禍で社会全般が不穏になったとき、再び「ブルーライトアップ」の登場かもしれない。「マッドマックス」みたいな世界は勘弁してほしいけど。