河合奈保子の転機となった「何様ソング」とは
音楽バラエティー番組「ユメルのモナリザラウンジ」(MUSIC BIRDほか全国コミュニティーFM、日曜深夜24時~)の8/2のオンエアでは、1982年のヒットソングから選曲した。
その中で、シンガーソングライターでパーソナリティーの茜沢ユメルさんが「モテモテソング」と紹介したのが、河合奈保子さんの10枚目のシングル「けんかをやめて」だ。
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作詞作曲を手掛けたのは竹内まりやさん。まずはモテっぷりが一番表れていると思う部分を抜き出してみる。
ごめんなさいね 私のせいよ
二人の心 もてあそんで
ちょっぴり楽しんでいたの
思わせぶりな態度で だから
けんかをやめて 二人をとめて…
二股をかけた女の子の懺悔が綴られているように見えて、謝りながらも内心喜んでいるような…。その状況を楽しんでいる姿が浮かんでくる。
ところが奈保子さんが歌うと、悪女っぽさはみじんも感じられず、ただただ可憐に見えたのだから不思議なものだ。
竹内まりやも称賛
竹内さんが他のアーティストに提供した楽曲を集めた「Mariya's Songbook」がリリースされた2013年。竹内さんはクリス松村さんとの対談で「けんかをやめて」について下記のように述べている。
「一言で言えば男の子を二股かけてしまってごめんなさい、というお話。ひどいですよね(笑)。それなのに、奈保子ちゃんが歌えばかわいくて自然かな」
一方、アルバム「REQUEST」(1987年)に収録したセルフカバーには「さすがに『これって何様のつもり?』って気持ちにはなりましたけどね」と照れている。
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そして「少女の心の機微が伝わる奈保子ちゃんの歌は、改めて聴いてもやっぱり上手だなあと思います」と称賛した。
竹内まりや×クリス松村「Mariya's Songbook」対談 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
音楽系アイドルへ
作者自らが「何様ソング」と認定した「けんかをやめて」だが、アイドル黄金時代で強力なライバルが揃っていたにも関わらず、リリース後に奈保子さんの人気はむしろ上昇し、「エスカレーション」「UNバランス」と代表曲が次々と生まれていく。
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元気ハツラツ路線だった方向性を変える転機にもなった。歌唱力はこれまで以上に高く評価され、歌番組でピアノの弾き語りを披露。その後の本格的な作曲活動につながったのだろう。
1996年に結婚を機に芸能界を引退してからも自作のピアノ曲集を発表し、熱心なファンを感涙させた。現役アイドルを続ける同期の松田聖子さんとはまた別の道を究めている。
「ユメルのモナリザラウンジ」は1960~90年代のJ-POPを中心にした音楽バラエティー番組。シンガーソングライターの茜沢ユメルがメインパーソナリティーを務め、毎週日曜深夜24時からTOKYO FMグループの音楽専門衛星放送「MUSIC BIRD」のほか全国100局超のコミュニティーFMでオンエアされている。